悲しい制度の国のお話「イキガミ」
週刊ヤングサンデー

悲しい制度の国のお話「イキガミ」

登録日:2016/04/27
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イキガミ
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なし
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著者・間瀬元朗さんによる、週刊ヤングサンデーで掲載されていた「イキガミ」です。 間瀬元朗さんは、デモクラティアでも有名ですね。

イキガミの世界観は、どこか、バトルロワイヤルに似ているような気がします。 どちらも、おかしな制度を持ち合わせた国の話です。 イキガミの場合は「国家繁栄維持法」がそれに該当されます。 イキガミを宅配された人間は、自らの寿命が残り一日だと知らされます。 要するに、イキガミを配る人間は、死神であり、その役目を主人公が担います。

    目次

  • bookmarkイキガミとは?
  • bookmark話の構成
  • bookmark見解(ネタバレあり)

レビューの内容

content_copyイキガミとは?


イキガミとは、前述したように、人の寿命を知らせる紙です。 この法律「国家繁栄維持法」は国民に「生命の価値」を再認識させることが目的です。それにより、一所懸命に皆が生きてもらうというのが建前です。 ただ、1000分の1の確率を引いてしまった人間は、イキガミを受け取り、24時間後の死の宣告をされます。(この辺り、もう少し事前に渡し、猶予を長くしてあげても良いと思いますが。。。) これは、イキガミの対象となる年齢である18〜24歳の男女が、小学生の頃に、ある時期に来ると発症する薬を打たれているためです。 そのため、紙を宅配されなくとも、その人間は亡くなります。


そのため、主人公は、辛く渡すことに苦しみを覚えますが、自らの仕事の重要性を知っていきます。


しかし、この制度は、やはり、力で押し付けているものに過ぎません。 拒否する者は、退廃思想者と呼ばれ、法的に罰せられてしまいます。


content_copy話の構成


初めのうちは、主人公が、イキガミを渡し、それを受け取った各話の受け取った人間がどう生きるかという話になります。 中には、絶望から復讐のために人を殺してしまうものもいれば、最後の輝きを見せる者たちも出てきます。


 



そんな死にゆく者たちを見ていき、主人公「藤本 賢吾」は、この国に疑問を持って行きます。 この国であれば、犯罪者になっていくのです。


しかし、藤本は行動が上司の石井 誠一郎に見ぬかれてしまい、退廃思想者として国家から処罰を受けてしまいます。


content_copy見解(ネタバレあり)


終盤から、物語は、何だか派手になっていきますね。個人的には、イキガミ宅配で終止して欲しかった気もしますが 物語を締めるのに仕方ないのかもしれません。 藤本は、国家から更生プログラムを受け、洗脳されてしまいます。 それと同時に、この日本に似た国は、他国に戦争を仕掛けられます。 それに対抗するために、イキガミの解除を報酬として、国民から兵隊を募集します。


そんな時、藤本は、洗脳から覚め、久保 七湖と共に船に乗り、他国に逃げようとします。 そう、それは、我らが祖国「日本」です。


 



それで物語は終わりますが、途中まで、イキガミの舞台は日本だと思っていたのですが、突然、他国になりました。 まあ、日本にこの法律が出来るのはリアルではないともいえますね。


結局、藤本は、この国を変えるというよりも、逃亡を選びました。 ただ、これもリアルで良いのかもしれませんね。少年誌ではあるまいし、一市民が国を変えられるわけがありませんし、影響力など乏しいものでしょう。


私としては、前半が好きで、初めの方は、悲しい人間ドラマに考えさせられリ良い漫画だと思います。

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